思い出 (C地点で 6)
12月27日(月) はれときどきくもり
ここからは
私の記憶を語ることになる
殿が何をしていたか
私ははっきりと知らなかったし
知ろうともしなかったから
それでも
記憶の中の殿の言葉は鮮明で
けれどなぜ
そんなにも覚えているのかを
考え始めたのは
ずっと後になってからのことである
たとえば
殿がバイトをしていた喫茶店へ出かけていって
「どう最近は?」と私がきくと
「おかげさまで、しあわせです」と言われたこと
私はいつもその店でアールグレイを飲んだ
その店から私のアパートまで
バイクに乗せてもらったときに
「落っこちてもひろわねえぞ」と言われたこと
殿の住んでいるアパートを友人たちと訪ねたとき
殿がひやむぎを食べていて
私の方を見向きもしなかったこと
そのときに
「冷蔵庫にすいかがあるぞ。おまえのぶんはない」
と言われたこと
とても天気のよい日に
ともだちのT君とふたりで
私のアパートにやってきたこと
そのとき
私の本棚に並んでいる詩集や小説を
けなしたこと
殿は腕を組んでいた
卒業間近になって
また突然やってきて
「引越し手伝おうか」と殿が言ったこと
そのときは
「もう荷物送っちゃった」と私が言って
縁側に座ってお茶を飲んだこと
(このときのことは
何年かたってから「別れがたくて」という詩に書いた)
思い出は数えるほどしかなく
ロマンチックなことはあるはずもなかった
私たちはただの知り合いになっていたから
とびきり大きなわだかまりを抱えたままで・・・
P.S.
今日は
石神井公園にある練馬区役所石神井庁舎に
戸籍謄本をとりにいった
謄本が出るのを待っている間に
隣に座っていた2歳の男の子に
ナンパされた
その後
池袋西武の立田野で
また抹茶クリームあんみつを食べた
今日はおいしかった
この前は私の舌がへんだったのかな
でもやっぱり
立田野の赤えんどうはゆですぎだと思う
その後
仕事で筑波の同級のT君と会う
(思い出の中に出てくるT君と同じ人物です)
「いくつまでサンタを信じてた?」ときかれて
「信じたことない」と答えると
「うちの子さあ、サンタさんを信じてるんだよ
小学校6年だぜ」という
「6年かあ。もうそのころ私は太宰を読んでて
男ってしょうがないなあなんて思ってた」
と言ったら笑われた
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